自転車のある暮らしをイラストで表現する〜ウェブ連載から展示まで〜 イラストレーター 坂内 拓 × Aspect 編集長 橋原 大典 インタビュー

Collaboration | 2023.03.24

TOKYOBIKE TOKYO (清澄白河)にて、アートエキシビション「Life on two wheels -Exhibition vol.1 Taku Bannai-」が開催されました。

 

自転車のある生活のささやかな喜びを切り取るイラストシリーズ「Life on two wheels」の第一弾アーティストとして招かれた坂内拓。作品を依頼したトーキョーバイクのオウンドメディア・Aspect 編集長の橋原。今回の企画に込めた思いや制作の裏側などのお話を、お二人に展示会場を見ていただきながら伺いました。
 
(聞き手:トーキョーバイク小西)

Life on two wheels

 

自転車のある生活は、ささやかな喜びに満ちている。 新しい出会いや発見、ひらめきと興奮、心地よい自分だけの時間。Life on two wheels は、トーキョーバイクのオウンドメディア「Aspect」で連載されているイラストシリーズです。

 

シリーズ第1弾として、イラストレーター・坂内拓に12枚の連作を依頼。日々の暮らしの中にあるシーンをリリカルなタッチで描くことを得意とする彼のイラストを切り絵で表現してもらいました。

 

 Life on two wheels 特設ページ (Aspectへ飛びます)

 

Life on two wheels

自転車のある生活は、ささやかな喜びに満ちている。 新しい出会いや発見、ひらめきと興奮、心地よい自分だけの時間。「Life on two wheels」は、自転車のある生活の普遍的な魅力を切り取ったイラストシリーズです。

 

シリーズ第1弾として、イラストレーター・坂内拓に12枚の連作を依頼。日々の暮らしの中にあるシーンをリリカルなタッチで描くことを得意とする彼のイラストを、全て切り絵で表現してもらいました。

 

 Life on two wheels 特設ページ (Aspectへ飛びます)

ー それでは、お二人の自己紹介からお願いします。
 
Aspect 編集長 橋原(以下、橋原)
トーキョーバイクのオウンドメディア Aspectの編集長をしています。今回の展示では、企画・会場ディレクションも行いました。
 
イラストレーター 坂内 拓さん(以下、坂内)
普段はクライアントワークが中心で、書籍や広告のイラストレーターをしています。昨年は色々とお話をいただいて、作品展も何度かやりました。
 
ー 坂内さんはどんな風にイラストレーターになられたんですか?
 
坂内
小さい頃から絵を描くのはずっと好きだったんですが、美大を卒業して就職もせず、ふらふらイギリスに行ったりしてました。その後CMを制作する会社で絵コンテライターとして8年ぐらい勤めていました。そこを辞めた後、一度イラストレーターを目指したんですが上手くいかず、再度勤めながらコンペに応募したりしてました。いくつか受賞して、少しずつイラストレーターの仕事が増えていって。なので絵はずっと好きでしたけど、遅咲きというか、そんな感じです。
 
橋原
絵コンテライターだったという経歴は初めて伺いました。
今回やりとりを重ねる中で、坂内さんは”作家”と”イラストレーター”の両面を気持ちよく保っている印象を感じていました。こちらからの依頼に対しても、軽やかに対応してくださったり、コミュニケーションがとてもスムーズで。今お話を伺って、合点がいきました。
 
坂内
絵コンテライターをやっていた時は、クライアントからのお題に応え続けていくというのを繰り返しやりました。 それが今になってすごく活きているかもしれないですね。
依頼に対して、こんなことできないよ、というのはあまりないんです。挑戦状みたいな感じで受け取るので、ちょっと無理な感じでもこうすれば描けるんじゃないかなって。それは常にあるかもしれない。
坂内さんにお願いした理由は、余白とそのおおらかさ
 
ー 改めて、今回の企画「Life on two wheels」について教えていただけますか?
 
橋原
「Life on two wheels」は、自転車のある生活の魅力をイラストで表現する企画です。トーキョーバイクスタッフが考える「心地よく、ひとりぼっちになれる」「寄り道が楽しくなる」「坂道を登り切った後の、心地よい達成感」などの自転車の魅力を、色々なアーティストに表現してもらおうというものです。
 
ー その1人目として、 坂内さんにお願いしようと思ったのはなぜですか?
 
橋原
Life on two wheelsでは、自転車そのものを描くのではなく、自転車に乗った時にどんな視点を持てるかを大事にしたいと考えました。その観点からすると、具体を描く人よりは、絵のフレームの外側まで想像させるような、余白を持った作風を持っている人がいいなと思いました。
 
また、この企画は様々なイラストレーターの方に同じテーマやフレーズを投げて描いてもらうものなので、初回だからこそ、この企画の意図がきちんと伝わる絵を描いてくれる人が良いというのもありました。
 
ー 具体的すぎず、抽象的すぎず、そして伝わる絵なんですね。
 
橋原
坂内さんの作品って、見ている人がその余白の中に何を入れてもいいというような、 おおらかさがあるんです。そこがこの企画の伝えたい部分と重なるなと思って、依頼させていただきました。
 
坂内
ありがとうございます。
ー 坂内さんはこの依頼を最初にもらった時どういう印象でしたか。
 
坂内
普段はわりと細かく決まった設定のある仕事も多いのですが、今回の依頼は絵のきっかけとなる一行のフレーズからイメージしたシーンを描くというものでした。
そのスタンスがすごく楽しそうだなという印象でした 。
 
橋原
基本的には12のフレーズだけお渡しする形でした。あとは、自転車を描く時だけトーキョーバイクのフレームの形にとお願いしました。
 
坂内
この一行のフレーズを感じさせるシーンであれば、好きなように自由に表現していい。スタート前に連載の後に展示もやりましょうという提案もいただいて、オリジナルの作品を描き下ろす気持ちで毎号描くことができた気がします。絵のフックとなるお題はトーキョーバイクさんからいただきながら描いていることもあって、一緒に作り上げていったという感覚が強いです。
 
橋原
この企画の面白さは、同じフレーズを別のイラストレーターの方に渡したら、別の描かれ方になるところです。だから作風までをこちらでディレクションすることはなかったですね。
 
ー 橋原さん、1枚目が届いた時を覚えてますか?
 
橋原
もちろんです。震えましたよ。今回のキービジュアルに使った作品01「風を、感じるようになる」と作品02「心地よく、ひとりぼっちになれる」の2枚を送ってきてくれたんです。トーキョーバイクスタッフが考えたフレーズを元に、個人的にもファンだった坂内さんが表現した作品を自分が最初に見られる。来た来た来た、っていう感じでしたね。それだけで、嬉しかったです。
 
坂内
ありがとうございます。
12枚の連作、続ける中でのそれぞれの変化は?
 
ー 12枚の連作というのは、少し珍しい取り組みですね。坂内さんは制作していく中で、何か変化はありましたか?
 
坂内
絵に関しての熱量みたいなものは淡々と。ひとつのフレーズに何ヶ月もかけるということはなく、次の月になったら次のフレーズを見て、ぱっとイメージして作っていました。
 
最初は、わりと思いつくままに描いていましたね。後半はだんだん展示風景を思い浮かべるようになって、それぞれの作品の変化が欲しいなと思い始めました。それまでとちょっと違う色を使ったり、構図もそれまでと変えた方が展示全体としては面白いかなと。絵のサイズも変えて単調にならないようにしたり。
ただ絵としては窮屈にならないように、気持ちのいい絵に仕上げることを優先しました。
 
ー 後半は展示のことを頭の片隅におきながら、制作していただいたんですね。
橋原さんは作品が届いてくる中で、何か印象の変化はありましたか?

 
橋原
僕は後半になるにつれて、あ、遊んできてくれたなっという印象でした。作品11「寄り道が楽しくなる」だったりとか、視点がそれまでと変化してる。例えば作品01や02が真正面ドンという構図だったとすると、作品11のコーヒー屋さんの前を描いている絵は、この奥には定食屋さんがあるのかなとか、そういうことがより想像できる。
 
ー たしかに。
 
橋原
こちらからディレクションを入れないことで、毎回作品があがってくるごとに感動がありました。坂内さんが、こう返してきてくれたよ!という。それがこの企画の面白さだというのは、始まる前から頭ではわかっていたんですけど。坂内さんが楽しんでいただけていたかは、ちょっと聞いてみたいですね。
 
坂内
僕も自転車が好きで、毎日の生活で乗っていることもあって、自転車をモチーフに絵を描けることは単純に嬉しかったですね。あとなかなかね、自由度が高いと思うんですよ。
ここまで好きなように描けることは、普段のクライアントワークとちょっと違う面白さや贅沢さがあって、僕自身も楽しんでやっていました。
ベースはパッと決まる。一枚の絵の中で意識しているさじ加減。
 
ー 作品と制作について聞かせてください。一枚の絵の中で、構成や色はどんな風に考えながら作るんですか?例えば、ぱっと完成形に近いイメージがおりてくるのか、だんだん作りながら構築していくのか?
 
坂内
ベーシックなところは、ぱっと決まります。今回のキービジュアルにもなっている作品01の場合は、青い紙と黄色い紙を重ねて、なんとなく空と地面のイメージ。今回は自転車というテーマがあったので、さらにその中に自転車に乗っている人がいたら気持ちがいいなと。
 
そのあと細かい箇所は感覚で決めていきます。もうちょっと奥に何かあった方が、少し具体性が出るかなとか。もっと自転車のスピード感を出そうかなって、ラインを加えていったり。わりとその時のさじ加減でやってました。
ー 細かい部分は、作りながらなんですね。作りながら意識することはありますか?
 
坂内
レイヤーというか。前職が絵コンテライターだったので、フォトショップを長いこと使っていたからか、レイヤーを重ねていくという考え方になっているかもしれないですね。こう、層を重ねていく。
 
ー 前職のご経験がそういう形で影響しているんですね。
紙って一枚一枚は薄いのに、重なることで奥行きというか世界観の膨らみを感じます。

 
坂内
そうですね。やっぱり紙の厚みだから出る立体感というのはあると思うんですよね。ペイントすると平面的になりやすいけど、紙だと重ねていくので見せたいところが手前にきたり。薄くても紙の厚みがでて、そこが奥行きになる。存在感じゃないけど、別なものという感じがでるのかもしれない。
 
ー 他にも意識されていることはありますか?
 
坂内
画面の中であまり視点を一つだけにしないようにしているんです。視点が一つだけだとそこから目が動かなくなるので、一枚の絵の中にポイントを何個かつくりたくて。自転車はどんなシーンでも自然なモチーフだし、それだけでもポイントとなる強さもある素材なので助かりました(笑)
 
ー 作品10「壊れても、大体直せる」は、先程のレイヤーというお話しが近くで見るとよくわかる作品だと思うのですが、この絵の中にもそのポイントがありますか?
 
坂内
そうですね。これもベーシックなところは最初に決めましたけど、「背景に人物がいたほうが動きが出るかな」とか、「ここにもう一色きた方が、画面として面白いな、色数がもう一つ欲しいな」と思って最後までポイントを探しながら作りましたね。
ー ベースはイメージでぱっと決まり、細かい部分はそのあと考えながら作っていく。そうして作っていった時に、完成ってどうやって決めるんですか?
あ、もうこれで終わりだな、これ以上やったらやりすぎだなみたいな感覚に最後はなるんでしょうか。

 
坂内
どうだろう・・・。やりすぎた時はね、あんまりいい絵にならないっていうのはあるかも。
大体2歩ぐらい手前で終わらせたいなとは思っているけど、最後は感覚的に「ここでやめよう」って決めていると思う。
過去〜現在、制作背景まで。ここだから見られる展示に
 
ー 今回の会場はトーキョーバイクのフラッグシップであるTOKYOBIKE TOKYOで、会場デザインは青山希望さんに手がけていただきました。完成した会場をご覧になって、いかがですか?
 
坂内
個展の時は自分でギャラリーの設営をする事が多いのですが、大体いつも決まった見せ方みたいなものがあって。だけど今回はデザイナーの青山さんに入ってもらえて、いつもとはガラッと違う空間になったと思います。会場に足を踏み入れた瞬間、ワッと静かに興奮しました。
 
ー どんな風にですか?
 
坂内
ポップで、鮮やかというか。なんだろう、外からの光も作品に印象的に差し込んでいて晴れやかな雰囲気になっているなと思いました。
 
ー ほんとに。春という季節も相まって、明るく晴れやかですね。
 
坂内
自分の中にない感覚やいつもと違うアプローチ、演出も含めて新鮮でした。普段の展示だと、わりとオーソドックスな見せ方で雰囲気もしっとりしちゃうんですけど。
この会場では作品を見てくれた方も前向きな気分になれると思うし、全体を通して絵と鑑賞者の距離をぐっと近くしてくれている、そんな空間にしてもらえたと思います。
 
橋原
今回は僕から青山さんにお声がけしました。彼女はブランディングやグラフィックデザインを中心に活躍されているデザイナーです。作家さんやプロダクトの素敵な部分をきちんと抽出して、それを彼女なりに拡張するというのがすごく得意な方なので。
 
坂内
トーキョーバイクの会場の構造やサイズ感もきちんとわかっている感じがしました。
正面のディスプレイや平台の見せ方も工夫されていて。
やりたいことがわかるというか、 そういうところが見ていて好感が持てたし、気持ちよかったです。
 
橋原
そんな風に言ってもらえたらよかったです。
ー 橋原さんが会場の中で気に入っているところはありますか?
 
橋原
吹き抜け大壁のインパクトのある展示もすごく好きなんですが、個人的には坂内さんのアーカイブの作品を見下ろす展示スタイルを絶対やりたかったんですね。その横に坂内さんの制作机の上を再現したインスタレーションもあって。
 
ー この会場では、最近の作品と過去の作品に加えて、制作背景まで見られるということですね。
 
橋原
切り絵って、カッター、ハサミ、紙と定規っていう普遍的な道具を使って作られている。それが作品になると、これだけのスケール感になる。そのトランスフォーメーションがすごいなと思っていて。
 
Aspectの取材の時に坂内さんのアトリエに伺って、実際に制作されているところを僕は見ているんですね。坂内さんがちょっと紙を重ねているだけに見える。でも僕じゃ絶対できない。坂内さんだから、紙を重ねて、これとこうやって合わせるってした時に景色が見えるんだって思いました。
 
坂内
あ、本当ですか。
 
橋原
はい。今回の制作机の再現、その中に配置されている道具。そういった環境の中でこういう作品ができてるんだよ、という繋がりを感じてもらえたらいいなと思っています。僕は直接アトリエに伺って見れたので、それを少しでもシェアしたいという気持ちでした。
 
坂内
贅沢ですね。スペースがあるからこそできるのはありましたね。普段の展示だとグッズも含めてここまでの展開は、なかなかできないので。
 
橋原
そうですよね。
 
坂内
うん、 ここだからできる展示ではあると思うんです。
 
ー 他にも今回だからこそ、ここを見て欲しいというのはありますか?
 
橋原
坂内さんの原画は切り絵なので、実物を見ていただきたいのが大きいです。会場に来られた方でも、切り絵と気づかない方もいらっしゃるんです。ぜひ作品に近づいていろんな角度から見てもらうと、作品の魅力がより深まるんじゃないかなと思います。
フリーハンドで生まれる、すこし揺れのあるライン
 
ー ここからは先程話にもあがった、坂内さんの製作机を再現したコーナーです。
 
橋原
実際に取材に伺った時も、こんな風に使う素材の紙がばさっと置いてありました。
 
坂内
そうばさってね。うん、 こういう細かいのが机の上にあって。でかめのは地面にどばって広げてあって。そっからチョイスする。
 
ー この中からその時の感じで選ぶんですね。制作机の再現を見ると使う道具もわかりますね。
 
坂内
他の人はわからないけど、わりともうシンプルに。道具としては、別に大したものは使ってないですね。
 
ー 紙を切る時は、常にカッターを使うんですか。
 
坂内
わりとカッターが多いですね。手でちぎったりもたまにするんですけど。ほぼカッターで切ってます。
 
ー 定規もありますね。
 
坂内
定規はね、使う時と使わない時があって。対象が人工物の時は定規を使うこともあるんですけど、自然なものは使わないです。硬くなっちゃうっていうか。
 
ー 線が硬くなっちゃう?
 
坂内
そう。パースも含めてなんですけど、正確にやりすぎると、一緒の空間にあるものは全部同じレベルにしないと居心地悪い絵になっちゃうんです。僕の中では。
だから、曖昧なフリーハンドのラインっていうのは、大事にしてるかもしれない。正確な直線じゃなくて、実はちょっとこう揺れや偶然性があるライン。
 
橋原
この会場の装飾に使っているカッティングシートを切る作業の時に、それがよくわかりました。この会場には色とりどりの不思議な形のカッティングシートが貼られています。これは全部、坂内さんが実際に切った紙をトレースして作られたものです。この切り抜き作業は、僕とデザイナーの青山さん、それからトーキョーバイクのスタッフでやったんですね。その時に、定規を使わない方がきれいになる線があるんだと思いました。
ー この装飾、華やかで可愛いなと思っていました。そんな裏話があったとは。
 
橋原
そうなんです。これを切っていた時に、最初に定規を使ってみたら線がガチッとなって。そうすると坂内さんの作品の柔らかさみたいなものがでなくて。だからフリーハンドの方がこれを切る時にいいかもという話をしました。
 
坂内
そうですね。多分、その方が魅力的な線に見えるというか、情報量も多いと思うんですね。定規でバシッとひくよりも、こうゆるっとなった方が、見る方もいっぱい感じるんじゃないかなと思うんです。
 
ー 机の上の紙は大きいのと小さいのとありますが、小さくなっても取っておくんですか?
 
坂内
わりとね、捨てられないかなぁ。どっかで絶対必要になるから(笑) なかなか捨てられない。たまる一方です。
 
ー そのたまっていた分がトレースされて、今回の会場に使用されているんですもんね。とっておいていただいてよかったです。
作っている時は、早くとどめておきたい。
 
ー この道具を使う時間が好きというのはありますか?
 
坂内
ローラーを使うのが好きな作業かも。紙をのりで貼って、最後にこう押し付ける時に使うんです。
 
ー 制作の最後に使う道具なんですね。
 
坂内
何をどこに置くか、決めるまでわりと長いんです。 ここはもうちょっとこっちかなって考える。ちょっと間を置くと、すごく悩んで決めたその場所から紙がずれちゃったりするんです。それが結構しんどくて。
 
なので今は、もう決めたって思ったら、そこにグッとカッターで切り込みをいれます。あたりみたいな感じで。それで最後に糊で貼ってつける時にこのローラーでビーってやるんですね。その時はちょっといい。もうこれは動かないぞっていう。
 
橋原
よし、これでもう動かないぞって。解放されるんですね。
 
ー 作品を作る前後、最中などにルーティンはありますか?
 
坂内
あんまり特別なことはやってないんです。作品が終わった後に一度片付けをします。それくらいかな。
 
ー 途中では片付けない、ということですか。
 
坂内
作品を作っている最中は、もう早くとどめておきたいと思ってるんです。間を置くと、ぱっと出たイメージがどっかに飛んでっちゃったり、また違うイメージになっちゃったりすることがあって。例えば、ここに緑か?いや赤かな?となった時に、じゃぁ緑を一旦しまって次に・・・とはやらないんです。だから作っている最中は、いちいち片付けないんです。
 
ー 一つの作品ができて全部とどめられた後に、ようやく片付けられるんですね。
 
坂内
そうですね。
 
ー ちょうど今のが最後の質問でした。今回のインタビューはこれでおしまいです。坂内さん、最後にお読みいただいている方に向けて、一言お願いできますか。
 
坂内
今回、Webの連載企画をきっかけに展示を開催していただきました。トーキョーバイクに足を運んでくれた方、絵を見に来てくれた方それぞれが、両方を知るきっかけになるような展示だと思います。
 
僕自身も絵や音楽が好きで、展示やライブによく行くんですが、実際に足を運ぶとディスクや作品集から受ける印象とは違う角度からの、そこに行ったから見えたものや感じることが必ずあるんです。
 
今回展示している作品は、会期が終わったら僕の手元を離れてしまうものもあります。この12枚の作品が集まるのはここだけなので、原画だからこその紙の重なりや表情など、会場の雰囲気も含めてぜひ近くで見てもらえたら嬉しいです。
 
橋原
坂内さん、今回は本当にありがとうございました。
 
ー 本日は作品と会場を実際に見ながら、お話をたっぷり伺いました。会期は4月16日(日)まで続きますので、引き続きたくさんの方にお立ち寄りいただけると嬉しいですね。
坂内さん、橋原さん、本日はありがとうございました!
番外編
オンラインでも購入できる。12枚から選べるオリジナルグッズの魅力
※現在はカードボックスのみ販売しております。
 

 
ー 今回は原画の販売と共に、ジークレープリントやカード、Tシャツの販売もあります。会場に来られない方もオンラインでご購入いただけます。橋原さん、それぞれのおすすめポイントを教えてください。
 
橋原
ジークレープリントは、美術館やギャラリーの展示にも使用されるクオリティの印刷方式です。これはきちんと保管すれば300年持つと言われてて、それが可能なレベルの額装がされているんですよ。
 
ー 300年!
 
橋原
ジークレープリントには原画とは別の良さがあって。今回は和紙を使っています。
 

 
ー 和紙に印刷してるんですか。
 
橋原
切り絵の質感、複雑な情報量の多いこの印象をプリントで焼きつけるには、風合いのある和紙がぴったりなんです。額はアルミの細縁フレームで、いろんなお部屋に合うんじゃないかと思います。
 
ー 次はカードです。これは自分の部屋に飾ってもいいし、メッセージを書いて人に贈ってもいい。そんな気軽さがありますね。
 

 
橋原
今回アートの展示なんですが、図録を用意するところまではできませんでした。なので、このカードボックスをお土産に持って帰ってもらって、展示のことを思い出してもらえると嬉しいなと思っています。
 
ー ジークレープリントとカードボックスの制作は、TOKYOBIKE TOKYOがある清澄白河の印刷会社さんにご協力いただいていると聞きました。
 
橋原
そうなんです。ローカルの印刷会社と一緒に作る経験ができたのもよかったです。
 
ー 最後はTシャツです。
 
橋原
今回は12のイラストから好きな柄とサイズを選んで注文できます。しかも大人は半袖・長袖から選べる。半袖はキッズもご用意してます。
 


 
ー ここまで選べることはなかなかないですよね。ちょっと無粋ですが、結構オペレーション的には大変なんじゃないですか?
 
橋原
そうですね・・・。でもすごく可愛いし、気に入った作品を身に着けられるんだぜっていう。その楽しさをいろんな人に味わってもらえたらいいなという思いから作りました 。これもいろんな人に着てもらえたら嬉しいなと思ってます。
 
ー 我が家は、子どもたち2人の分もいれて合計4枚買ってしまいました。それぞれ好きな絵を選んだのですが、12枚の絵を見ながら「どれにする?」という会話も楽しかったです。
 
橋原
今回ご紹介したジークレープリント、カード、Tシャツはオンラインでもご購入いただけるので、たくさんの人にお気に入りの一枚を暮らしに取り入れていただけたら嬉しいです。

 
※現在はカードボックスのみ販売しております。